5月13日
ヴィヴィアン佐藤氏の「ヴィヴィ染み」を壁に展示しています。
ヴィヴィ染みについて、作者のヴィヴィアンさんの言葉
ロールシャックテストと同じ方法で生み出された「染み」(汚れ)は、 「染み」(汚れ)以上でも「染み」(汚れ)以下でもない。 画用紙を予め半分に折り目をつけておき、 片方にインクを滲ませそれが乾かないうちに紙を折り畳む。 そうすると左右対称の鏡像形のほぼ同形の「染み」が完成する。 このような技術は世界最古の複製技術であり、 原版と複製画が同じ面に共存する形式をとる。 複製は常に完璧に行われず、インクが片方の用紙のみ飛び散ったり、 映らなかったり、空気の泡ができて白く抜けたり、 異なる意味で指紋など本物の汚れ(ノイズ)が付着してしまったり、 左右の原版と複製の間に必ず「誤差」が生ずる。 用紙上の折り目の部分は、次元を変換する「蝶番」の役目を果たしており、 今回は一枚の画用紙において複数の「蝶番」が共存し、 その幾つかの折り処は時には互いに影響を及ぼしあうこともある。 水面の幾つかの波紋がお互い影響を及ぼし、重ね合わさったり干渉することにも似ている。 その幾つかの偶然出来上がった「染み」(汚れ)たちを、 大量生産方式に作られた既製品の額に入れて恣意的に構成する。 「染み」(汚れ)以上でも「染み」(汚れ)以下でもない単なる「染み」(汚れ)たちは、 額装という枠組みを与えることで初めてグラフィカル的に意味を獲得する。 グリッド状に並べられた短形の額は文字通り窓枠を連想させ、 ギャラリーの外部空間はまるで大きな混沌とした世界のように映るであろう。
ヴィヴィアン佐藤 2018,11,30